このサイトでは、旧型リグでFT8を運用する記事のアクセスが高めです。たとえば、次のような記事です。

  「FT8で交信(1) ~デコード・とりあえず見てみる~」   

  「FT8で交信(2) ~音声とPTTをつなぐ~ 古いRIGでもFT8に!」

 この2本の記事は、FT8の入門を考えていて、とりあえず今の手持ちの無線機で始めてみたいという方のニーズがあるのかもしれません。

 私は、ステップアップで無線機を購入するタイミングになると、なぜか綺麗な古い無線機を頂いたり、USEDで極上品に出合ったりしてきました。昨年末も、まだ現役のHF機をプレゼントいただき(とても綺麗な状態!)、送信機登録も済ませました。先輩に感謝です!

 そのような感じなので、私は最新の無線機にはあまり縁がないめぐりあわせです。

 そんな環境のため、旧型の無線機でインターフェイスを工夫してPCと接続し、FT8を運用しています。今回は、工夫の末にたどり着いた、旧型無線機でのFT8システムについてご紹介します。

(この記事は2022年当時の内容です)

 今まで、IC-7400(CI-V方式)、FT-847(PTT制御のみ)、FT-102(PTT制御のみ)、FT-817(CAT方式)、その他HF機2機などを試してきました。

 その中から、IC-7400(移動用、メーカーで出力改造仕様)のCI-V接続タイプをご紹介します。周波数とPTTはCI-VでPCと通信して同期しています。WSJT-Xで周波数を変えれば無線機も周波数が変わります。同じく、WSJT-Xで送信状態にすると、無線機も送信します。図にすると、下記のような接続になります。

 音声は、PCのサウンドカードからの光デジタル出力を、DAコンバータ「Digital to Analog Audio Converter」でアナログ信号に変換して無線機に入力しています。光出力なので、電気的に絶縁した状態で接続しています。

DAコンバータ「Digital to Analog Audio Converter」(クリックでスペックが見られます)

 音声の出力は、無線機のAFライン出力(ACCコネクタ)から600:600オームのオーディオトランスを介して、PCのマイク端子に入力しています。

600:600オームのオーディオトランス(クリックでスペックが見られます)

 参考までですが、PCのアナログ音声をデジタルに変換するツールもあります。PC側にデジタル出力がない場合に使えますが、トランスの方がコスパは良いと思います。トランスでも回り込みなどがある場合にはA/Dコンバータも良いと思います。

アナログ→デジタル音声コンバーター (クリックでスペックが見られます)

 私は上図の接続方法で、旧型のIC–7400でヨーロッパもアフリカも北米も南米チリも交信ができています。

 出力も50W程度です。FT8は微弱信号のデコードもされるので、スプリットをうまく使うと出力勝負を避けることもできそうな感覚です。

 さて、具体的なインターフェイスですが、JA4JOE局が公開された回路を参照しています。具体的には下図の通りです。

 ページ上部の写真は、実際にこの図の回路をブレットボードで組んだものです。雑誌の記事用にブレットボードにしていますが、今はユニバーサル基盤にはんだ付けして組んでいます。

 USB信号をシリアルに変換してくれるケーブル「DTECH USB TTL シリアル 変換 ケーブル 5V 1m FTDI チップセット 6ピン」にショットキーバリアダイオード1本と4.7Kオームの抵抗1個でCI-V接続は実現できます。

DTECH USB TTL シリアル 変換 ケーブル 5V 1m FTDI チップセット 6ピン(クリックでスペックが見られます)

 このインターフェイスは、WSJT-Xで周波数を変えると、無線機側も周波数が自動で追従してくるので便利です。

 古い無線機でもFT8やFT4は運用可能なので、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

 ※IC-7400はWSJT-Xで機種が選べません。そのため、IC-7400側のCI-Vアドレスを56hに変更してから、WSJT-XでIC-746として設定するとCI-V接続できます。私はボーレートは無線機側もWSJT -X側も19200ボーで接続しています。

IC-7400について

 IC-7400は、もう1台欲しいと思うくらいの優秀な無線機です(個人の感想です)。

 CWのフィルターもオプション無しで300Hzくらいにスパッと切れます(TWIN BPT)。この機種あたりから、おそらくフィルタの切れは大きく向上しているのではないかなと思います(個人の感想です)。

 高安定基準発振水晶ユニット(CR-338)を入れていることもありますが、周波数もドリフトすることはありません。CI-VでのFT8やFT4の運用もこなせます。また、144MHz帯も付いてるのはアドバンテージですね。これで、軽かったらもっと良いなぁと思います。

 私は移動用にメーカー改造でパワーダウンして送信機登録していますが、USED極上品に巡り合うことがあるならば、もう一台ノーマル機を入手するのもいいなと思ったりします。

 とはいえ、IC-7300などを使ってみたら考えも変わるかもしれませんね!


By Aki