FT8で先日、アイルランドと交信できました。

 さて、今回は、YAESU「FT-847」用のFT8インターフェイスを作りました。

 FT-847は、なかなか癖のある設計で、オートアンテナチューナーを接続するとCAT通信が機能しません。

 また、私がかなり前に入手した機種は、そもそも、VFOの値がCATで読み出せない仕様のようです。

 そこで、CATによる周波数やPTT制御はできないので、USB(シリアル変換)接続でPTTを制御してFT8にオンエアできるようにしました。

 (1)機能のアウトライン

 機能的には、①音声入力、②音声出力、③PTT制御の3つの信号が接続できればOKです。

 実際に作ってみたものが、記事上部の写真の回路です。

(2)製作

  ①RIGへの音声入力は、PCのサウンドカードからの出力を、FT-847の「DATA IN/OUT」端子のIN側へ入力します。

  ②RIGからの音声出力は、FT-847の「DATA IN/OUT」端子のOUT端子の出力をPCのマイク端子に入力します。

  ③PTTは、PC側のUSBポートにUSBシリアル変換機を接続して、「RTS」の信号で制御することにしました。 


 今回は秋月電子の「CH340E USBシリアル変換モジュール」(480円・税込)を使用していますが、「USB TTL シリアル変換ケーブル」などでも同じことができると思います(RTS端子の出力が5Vであることがポイントです)。

 なお、FT-847のPTT制御は、「DATA IN/OUT」端子のIN側を2.2Kオームの抵抗でグランドに落とすことでPTTがONする仕様です。

 (3)回路

 今回の回路図は、以下の通りです。

 リグとPCは、直流的には絶縁できています。

 PTT制御では、10マイクロFの電解コンデンサが肝心です。コンデンサの耐圧は50Vあれば安心と思います。

 「RTS」は、PTTがONでグランドレベルになりますので、2SA1015で制御します。ベースに接続の2.2Kオームは、私の環境では問題なく動いていますが、必要に応じて調整してください。


 私は、PCオーディオの出力に光デジタル出力を使ってアイソレーションを高めていますが、光出力ではなく「ヘッドホン出力」を使うのでもよいと思います(記事下部を参照ください)。

 リグからの音声出力は、「600オーム:600オーム オーディオ アイソレーション トランス」を用いています。

 この組み合わせで、私はノイズや回り込みは起きていません。良好に、FT-847でFT8が運用できています。

 ヘッドフォン出力を使う場合

 PCの音声出力について、ヘッドフォン出力を利用する場合は、「600オーム:600オーム オーディオ アイソレーション トランス」を間に入れると、ノイズ対策になると思います。接続は、下図のようなイメージです。

 なお、トランスを抜いて、コンデンサとヘッドフォン端子の直結でも問題ない場合もあると思います。

(4)WSJT-XやJTDXの設定  

 WSJT-XやJTDXは、「設定」画面の「無線機」タブで、無線機は「None」を選び、PTT制御は「RTS」を選びます。

 COMポートは、USBシリアル変換モジュールのポート番号を確認して、設定します。

 調べ方は、FT8で交信(2) ~音声とPTTをつなぐ~ 古いRIGでもFT8に!を参照してください。

 

FT-847でFT8

 FT-847はヒットしたトランシーバーの一つと聞きます。お持ちの方も多いのではないでしょうか。

 今回製作したインターフェイスは、周波数制御はマニュアルですが、FT8の交信自体は良好に実現できていますので、少しでも参考になれば幸いです。

By Aki